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版画について
版画は絵画の表現手段の一つですが、油絵や水彩画と異なる点は、イメージができたら、まず製版し、それから刷るという間接技法であるということです。用いられる版は、その形状から、凹版・凸版・平版・孔版という4つの大きな種類に分けられます。それらの版を使った様々な技法により、作品の印象も変わってきます。作家によっては、独自の技法を生み出し、複数の技法を掛け合わせて、作品を表現することも少なくありません。
「版画」には、「油絵」や「日本画」などの高額な作品と比較すると、手ごろな価格でありながら一定の価値観が有り、様々な表現力に富んだ作品の中から、
自分の趣味に合ったものが気軽に選べ、美術を身近に楽しめるという魅力があります。
この版画のもつ価値観が保たれているのは、作家が納得する枚数を、限定して刷り、
そのシリアルナンバーと作家サインを記入することで、商品としての希少性や付加価値
高めているからです。
一点一点の作品は厳重な品質管理がなされ、15/200といったナンバーが明記されています。
この作品ナンバーの分母が刷られた限定の総数であり、分子がその中の通し番号となります。
但し番号の順番は必ずしも刷り上った順番とは限らず、その作品の優劣とは一致するものではありません。
単なる印刷物による「複製画」との違いは、古く石版画の時代から受け継がれている「限定刷り」という、
考えによって希少性による付加価値が付けられています。
現代では、美術作品の保存や展示にも利用され、美術館に所蔵される作品も生まれています。
下記によく利用される版画技法を紹介致します。
シルクスクリーン
シルクスクリーン印刷は版材に絹(シルク)の布を使った印刷方法。 絹目の間からインクをヘラで擦ることで適量押し出し、元版の空隙から印刷物に インクを乗せて制作致します。 現代では、絹布ではなくインクの通りが良いように開発された 化学繊維の糸で織られた布を利用することも多くあります。シルクスクリーン版画は、従来からの絵画的表現では得られない強烈の色彩グラデーションの美しさが特徴となります。
ジグレー
ジクレーはデジタル・リトグラフとも言われ、最新のコンピュータ技術を用いた版画技法です。原画の画像をデジタルに変換し、スクリーンを使用せずダイレクトにインクを版画紙やキャンバスに吹き付けます。ジクレーとはフランス語で「インクの吹き付け」を意味します。顔料系インク(約200年の耐光性)より原画の再現性に優れた仕上がりを得られます。色彩の発色が美しく、鮮やかな表現を持つ高品質の版画です。
ダイアモンドスクリーン
従来までのシルクスクリーンや、リトグラフなどの技法では、どうしても表現できなかった、繊細で鮮明な色彩表現が、高度な画像解析力によって可能になりました。通常の印刷では、色の濃淡は規則的に、並んだ色の点の大きさによって表現しています。一方ダイヤモンド・スクリーンニングでは、極小点の色の展がランダムに点在しており、その密度により色調の濃淡を表現しています。そのため細部の微妙な調子や質感の再現性に優れており、グラデーションなどの調子を滑らかに表現することが可能で、鮮やかで美しい仕上がりが得られるのが特徴です。
リトグラフ
石灰石の版にインクで描画し、その上に弱酸性溶液(硝酸とアラビアゴムの混合液)の化学反応を利用した印刷技法。現在では石灰石が入手困難のため、金属版を使用した「焼付法(オフセット・リトグラフ)」が多くなっています。直接描く版よりも、ハーフトーンの調子がつぶれにくいので、原画をより忠実に再現することに優れています。
このようにして認められたオリジナル版画は、愛好者が作品を分かち合って持つことができる複数芸術で、現代の生活様式の中で、多くの人達に指示されながら普及しているアートです。